内定取消は違法か!?
採用内定は労働契約の成立と見られますので、
正当な理由もなく取り消すことは、解雇権の濫用(らんよう)となります。
内定の法的解釈
「求人募集に対する応募は労働契約の申込みであり、採用内定通知は申込みに対する承諾である」
という判例があり、会社側が入社誓約書を受領した時点で、労働契約が成立すると考えられます。
つまり、内定者といっても、ほとんど社員と同等の地位があるのであり、
内定を取り消すことは、解雇に等しい行為ということができます。
内定取消できる場合
<内定者側の問題>
1、採用内定通知、誓約書等に記載されている内定取消事由があるとき
内定取消事由は、解雇と同様に、客観的に合理的で
社会通念上相当として是認できるものに限定されることになります。
2、1以外の場合でも、合理的な理由があれば、取消できる場合もあります。
●提出書類に虚偽の記載があることが発覚したとき
その虚偽記載の内容・程度が重大なもので、
それによって従業員として不適格であることが明らかなときは、
認められる可能性が高いと考えられます。
●内定者の健康状態が悪いとき
内定後、勤務に耐えられないと予想されるほど、健康状態が悪化した場合。
●内定後、内定者が傷害で逮捕されたとき
重大な犯罪行為を行った場合
●学校を卒業できなかったとき
その他、業務を遂行するうえで、適格ではないと思われる行動を内定者が取れば、
白紙に戻せる可能性は、高いです。
<企業側の問題>
整理解雇の要件を満たす必要があります。
判例上、整理解雇は以下の4つの基準を満たすことが必要であるとされています。
●整理解雇の必要性があること
●整理解雇回避のための努力を尽くしたこと
●解雇の対象者選定について、客観的・合理的な基準を作成し、適正にこれを運用したこと
●使用者が整理解雇を行うにあたって、当該労働者、労働組合と
誠実かつ十分に協議しなければならないこと
内定取消する場合の注意点
やむを得ず内定取消をする場合、トラブルにならないよう、慎重に対応する必要があります。
1、内定者に対し、しっかり事情を説明し、誠実な対応を心がけましょう。
2、内定者に対して、新しい就職先の確保に最大限努めなけらばならないと、
旧労働省の指針にあります。
3、内定取消と解雇は同じように考えられていることから、
内定取消には解雇と同様の「手続」が必要になってきます。
<厚生労働省HPより抜粋>
新規学校卒業者の採用内定取消し・入職時期繰下げ等への対応について
ア 事業主は、採用内定を取り消さないものとする。
イ 事業主は、採用内定取消しを防止するため、
最大限の経営努力を行う等あらゆる手段を講ずるものとする。
なお、採用内定者について労働契約が成立したと認められる場合には、客観的に合理的な理由を欠き、
社会通念上相当であると認められない採用内定取消しは無効とされることについて、
事業主は十分に留意するものとする。
ウ 事業主は、やむを得ない事情により、
どうしても採用内定取消し又は入職時期繰下げを検討しなければならない場合には、
あらかじめ公共職業安定所に通知するとともに、公共職業安定所の指導を尊重するものとする。
この場合、解雇予告について定めた労働基準法第20条及び
休業手当について定めた同法第26条等関係法令に抵触することの無いよう十分留意するものとする。
なお、事業主は、採用内定取消しの対象となった学生・生徒の就職先の確保について
最大限の努力を行うとともに、
採用内定取消し又は入職時期繰下げを受けた学生・生徒からの補償等の要求には
誠意を持って対応するものとする。
採用全般でお困りのことがあれば、エヌリンクスにお問い合わせください。